底地価格に影響を与える「金利上昇」と「地代利回り」

カテゴリ:

底地は、その収益の大部分を地代収入に依存する収益還元型の資産です。そのため、不動産市場や金融市場の動向、特に金利の動向は、底地の価格と市場での評価に直接的かつ重大な影響を与えます。低金利時代が終焉を迎え、金利上昇の局面に入りつつある現在、オーナーは金利と底地利回りの関係を理解し、売却や保有のタイミングを見極める必要があります。

底地の評価手法と金利の関係

底地の価格は、主に収益還元法によって評価されます。この手法は、将来得られる純収益(地代収入から経費を引いたもの)を、現在の価値に割り戻す際に用いる還元利回りによって大きく左右されます。

底地価格 = 年間純収益(地代 – 経費) ÷ 還元利回り

  • 還元利回り
    投資家がその不動産に期待する収益率のことです。市場の金利(長期金利や融資金利)が上昇すると、投資家はより高いリターンを求めるため、還元利回りも上昇します。
  • 金利上昇が価格に与える影響
    金利が上昇し、還元利回りが上昇すると、上記の計算式に基づき、底地価格は下落します。

したがって、金利上昇局面では、底地の価格は下落圧力を受けやすくなります。

地代利回りの構造と現状の課題

底地オーナーが受け取る地代収入に基づく地代利回りは、一般的に2%〜4%程度と低めです。

1.融資金利との逆転リスク

もしオーナーや底地を購入する投資家が融資を利用している場合、融資金利(例:2%)が地代利回り(例:2.5%)との差(利ざや)が縮小すると、投資の妙味が薄れ、底地の魅力が低下します。さらに金利が地代利回りを上回る逆転現象が起きると、市場の流動性は大きく低下します。

2.インフレ耐性

インフレ(物価上昇)が起こると、底地の価値は理論上上昇しますが、地代は借地借家法によって守られているため、地代改定が容易ではありません
地代の改定がインフレに追いつかない場合、実質的な地代収入が減少し、収益性が悪化します。

オーナーが取るべき戦略と市場タイミング

金利上昇局面において、底地オーナーが取るべき戦略は以下の通りです。

1.地代改定交渉の迅速化

金利上昇やインフレを「経済事情の変動」の根拠として利用し、地代改定交渉を速やかに行います。地代収入を増やすことで、還元利回りによる価格下落を相殺する効果が期待できます。

2.保有か売却かの判断

  • 保有継続
    地代利回りが安定しており、かつ借地権者が固定資産税以上の地代を支払っている優良な底地は、相続対策として保有を継続します。
  • 早期売却
    地代が低く、交渉が難しい底地や、流動化を急ぎたい場合は、金利がさらに上昇する前に専門業者への売却を検討します。

3.情報収集の徹底

長期金利の動向や金融機関の底地に対する融資姿勢の変化など、市場の金利動向に関する最新情報を収集し、売却のタイミングを見極めることが重要です。

まとめ

金利の上昇は、収益還元法で評価される底地の還元利回りも上昇させるため、底地価格に下落圧力をかける最大の要因となります。オーナーは、金利と地代利回りの差が縮まる逆転リスクを回避するため、金利上昇を地代改定交渉の強力な根拠として利用し、収益性の改善を急ぐ必要があります。地代が低く収益性の悪い底地は、金利がさらに上昇する前の早期売却を検討し、優良資産は管理を徹底して保有を継続するなど、市場動向に応じた戦略的な判断が不可欠です。