相続時精算課税制度の活用法とリスク

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底地を子や孫に生前贈与する場合、多額の贈与税が発生するリスクがあります。この贈与税の負担を大幅に軽減し、計画的な資産移転を可能にするのが「相続時精算課税制度」です。この制度は、特に底地のように将来的な資産価値の向上が見込まれる財産を移転する際に有効です。

相続時精算課税制度の仕組みと非課税枠

この制度は、60歳以上の親(または祖父母)から、18歳以上の子(または孫)への贈与について、2,500万円までの贈与が非課税となる制度です。

  • 相続時に精算
    贈与された底地の評価額(贈与時の評価額)は、贈与者の相続時に相続財産に合算され、改めて相続税として課税されます。既に支払った贈与税があれば、相続税から控除されます。
  • 贈与時は非課税
    2,500万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。

底地の贈与における最大のメリット

底地の贈与にこの制度を活用する最大のメリットは「贈与時の評価額」で将来の相続税が計算されることです。

  • 将来の評価額上昇リスクの回避
    贈与後に底地の周辺環境が改善し、評価額が大きく上昇した場合でも、相続税は贈与した時点の低い評価額で計算されます。底地の価値が将来的に上がる可能性がある場合に、特に有効です。
  • 多額の贈与税の回避
    底地を2,500万円以下の評価額で贈与できれば、通常の高い贈与税率(年間110万円超の贈与に適用)を回避できます。

制度適用のリスクと注意点

底地の贈与にこの制度を活用する最大のメリットは「贈与時の評価額」で将来の相続税が計算されることです。

  • 選択後の撤回不可
    一度この制度を選択すると、その後の贈与については、すべてこの制度が適用され、通常の年間110万円の基礎控除は二度と利用できなくなります
  • 相続税の課税対象
    贈与された財産は最終的に相続税の課税対象となるため「節税」ではなく「課税の繰り延べ」と考える必要があります。
  • 底地の評価額の確定
    贈与時の底地の評価額を正確に算定することが重要です。評価を低く見積もりすぎると、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

この制度を利用する際は、必ず相続税に詳しい税理士と連携し、相続財産全体を考慮したシミュレーションを行うことが不可欠です。

まとめ

底地を生前贈与する際、相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与を非課税にする強力な手段です。この制度最大のメリットは、贈与後の評価額が上昇しても、相続税は贈与時の低い評価額で計算される点です。ただし、一度選択すると通常の基礎控除(110万円)が使えなくなるため、メリット・デメリットを慎重に比較し、相続税に詳しい税理士と連携して相続財産全体を考慮したシミュレーションを行うことが必須です。