
不動産投資の世界では、近年「底地(貸地)」への注目が再び高まっています。
かつては「地代収益が少なく、売却もしづらい」という理由で敬遠されがちだった底地ですが、2025年の投資市場では“安定資産”として再評価されています。
なぜ、今になって底地が投資家から見直されているのでしょうか?
本コラムでは、投資家・ファンド・富裕層の動きを踏まえながら、底地投資が注目される背景と今後の見通しを詳しく解説します。
金利上昇局面で求められる「守りの資産」
2024年以降、日銀がマイナス金利を解除したことで、不動産市場全体の投資マネーの流れが変化しました。
これまで「利回り重視」で活況だった賃貸アパートや商業施設への投資が一服し、投資家はよりリスクの低い安定資産を探し始めています。
底地はその代表格であり、株式やREITのように短期的に変動する資産ではなく「インフレ下でも強い長期安定型の資産」として底地が再注目されているのです。
- 借地人がいるため、安定的に地代収入を得られる
- 建物管理が不要で、運用コストが極めて低い
- 土地の権利関係が明確になれば、長期保有に向く
投資家層の変化(個人から機関投資家へ)
かつて底地を買うのは地主や地元不動産業者が中心でしたが、近年はプロの投資家層が積極的に参入しています。
特に目立つのは、
- 都市型の底地を狙う不動産ファンド
- 相続・事業承継対策としての底地投資を行う富裕層
- 一体化再開発を狙うデベロッパー
彼らは単に「地代収益」を目的とするのではなく、底地の一体化や再開発によるキャピタルゲインも視野に入れています。
2025年現在、投資用底地の平均利回りは2〜3%台と低水準ですが、下記のような特性が長期運用型の投資家にとって魅力となっています。
- 他の資産より安定性が高い
- 評価損を出しにくい
- 借地権との統合で将来的に土地活用が可能
法制度・市場環境が整備され始めた
底地が再評価されているもう一つの背景が、制度面の変化です。
借地借家法や相続税評価ルールの見直しが進み、底地の価値が「見える化」されつつあります。
- 相続税評価での底地割合の明確化
- 地代の適正化に関するガイドライン整備
- 底地・借地一体化に対する税制優遇の検討
これらの制度整備により、従来は不透明だった底地の評価や売買がスムーズになり「市場として成立しやすくなった」点が大きな変化です。
また、地価上昇や土地不足の中で「借地権を活かした再開発」が注目されるようになったことも、底地の存在感を押し上げています。
底地投資のリスクと今後の課題
もちろん、底地投資はリスクゼロではありません。
特に以下の点には注意が必要です。これらの課題を回避するには、権利関係の事前確認と、専門家による底地評価の実施が不可欠です。
最近では底地専門の仲介会社やコンサルティング企業も増え、地主・投資家の双方が安心して取引できる環境が整いつつあります。
- 借地人との関係性や契約条件によっては流動性が低い
- 地代が適正でない場合、想定利回りを下回る
- 権利調整が難航すると、再開発や売却が進まない
これらの制度整備により、従来は不透明だった底地の評価や売買がスムーズになり「市場として成立しやすくなった」点が大きな変化です。
また、地価上昇や土地不足の中で「借地権を活かした再開発」が注目されるようになったことも、底地の存在感を押し上げています。
今後の展望「安定+再生型」投資の主役へ
底地市場は、従来のように「地代収益を得るだけの資産」から、
「再開発・再生を含めた長期戦略型資産」へと変化しています。
特に今後は、下記の二方向の流れが強まると予想されます。
- 都市部
再開発・一体化を狙う底地取得が活発化 - 地方
再生型底地投資(老朽地再利用・商業転用など)への関心上昇
投資家にとっては、安定運用+将来的な成長ポテンシャルを兼ね備えた底地は、ポートフォリオの中で重要な位置を占めるようになるでしょう。
まとめ
底地投資が再び脚光を浴びているのは、単なるトレンドではなく、
「安定と将来性を兼ね備えた資産構造」へのシフトを象徴しています。
高利回りよりも安定収益を求める時代、底地は地味ながらも確実に評価を高めています。
地主にとっては「手放すべき資産」ではなく、投資家にとっては「長期保有に値する守りの資産」。
2025年の不動産市場において、底地は再び“静かな主役”となりつつあるのです。
