
多くの底地オーナーが抱える共通の悩みの一つが、借地上にある老朽化建物の問題です。建物が古くなると、地代収入が固定資産税を下回る「逆ザヤ」に陥ったり、倒壊リスクや景観の悪化によって底地自体の価値を下げてしまいます。この事例は、老朽化建物が建つ底地を所有していたオーナーが、弁護士の知恵と戦略的な外部圧力を活用し、借地権者からの「無償での土地返還」という最も理想的な結果を実現したケースです。
オーナーが直面していた課題
東京都内の一等地ながら、築60年超の木造アパートが建つ底地を所有し、多額の立退料を支払うことなく、土地を更地として取り戻し、高値で売却することを目標としていたA氏(70代)。
1.老朽化リスク
建物は極度に老朽化しており、いつ倒壊してもおかしくない状況。地代は地域の相場よりはるかに低いまま固定化し、実質的に収益はゼロに近かった。
2.借地権者の状況
建物を相続した借地権者B氏は、建物修繕の費用捻出が難しく、かといって建替え費用も用意できない「貧困状態」にあった。
解決に向けた戦略的アプローチ
A氏は、費用対効果を考え、訴訟ではなく交渉による円満な解決を目指し、借地借家法に精通した弁護士と連携しました。
1.「客観的な第三者評価」の提示
まず、建物の老朽化度合い、および建替えにかかる費用を専門家に評価させました。その結果、「この建物を維持・修繕するには、建物価値を遥かに超える費用が必要」という客観的な事実を確定させました。
2.法的なリスクの強調
弁護士を通じてB氏に対し、「このまま放置すれば、特定空き家に指定され、固定資産税の優遇が解除されるリスク」と「老朽化による倒壊で第三者に損害を与えた場合の所有者としての責任」を冷静かつ具体的に伝えました。
3.「費用負担ゼロ」の代替案提示
B氏が最も恐れていたのは「建物の解体費用」でした。A氏は最終提案として、「土地を無償で返還していただければ、解体費用(数百万円)はすべてオーナー側が負担し、B氏には一切の費用負担をかけない」という『負担ゼロでの円満解決』の選択肢を提示しました。
無償返還と資産価値の飛躍的向上
A氏は土地を更地に戻し、借地権付きの底地価格と比較して約3倍の価格で土地を売却することに成功しました。
この事例の成功は、単に「立退料を払う」だけでなく、借地権者が抱える最大の不安(解体費用と将来のリスク)を解消する提案を行うという、戦略的な譲歩と専門家の知恵が鍵となりました。
まとめ
老朽化建物の底地を所有していたA氏は、弁護士と連携し、「老朽化によるリスク」と「解体費用の負担」という借地権者側の最大の不安を解消する戦略的な譲歩(解体費用全額負担)を提案しました。この『費用負担ゼロでの円満解決』という代替案が決定打となり、借地権者からの無償での土地返還を実現。結果、土地を更地化し、約3倍の資産価値向上に繋げました。
