
底地は、その特殊な権利形態ゆえに、相続が発生した際に遺産分割で揉めやすい資産の典型です。地代収入という「収益」は生むものの、流動性が低く、価格評価が難しいため、複数の相続人間での公平な分配が困難となるためです。この事例は、3人の兄弟間で底地の分割を巡って紛争寸前であった状況を、底地専門業者への「一括売却」という戦略により、短期間で現金化し、公平な分配を実現することで円満な相続を導いたケースです。
遺産分割の不公平感
都内と地方に合計12件の底地を所有していたA氏の遺族(長男B氏、次男C氏、長女D氏)。
- 公平性の欠如
底地を現物で分けると、都心の一等地と地方の収益性の低い土地で価値が大きく異なり、評価額の算定で意見が対立。 - 管理負担の押し付け合い
誰も底地の管理を望まず、特にトラブルを抱えた物件の押し付け合いが発生。 - 紛争リスク
遺言書がなく、話し合いが感情的になり、家庭裁判所での調停寸前の状態。
解決に向けた戦略的アプローチ
B氏は、底地の専門家である不動産コンサルタントに相談し、「揉める原因そのもの(底地)を解消する」という方針を決定しました。
1.専門業者への一括査定
12件の底地全てを対象に、底地専門の買取業者E社へ一括で査定を依頼。買取価格は市場価格よりも割引かれますが「現状のトラブルや管理の煩雑さも含めて一括で即金買取する」という提案を得ました。
2.「客観的価値」の確定
E社からの査定額を兄弟全員に対して「この底地の市場で売却できる客観的な価値」として提示しました。これにより、感情的な価格論争を終わらせることができました。
3.売却益の公平分配
売却後の現金を、相続人全員で法定相続分に基づき公平に分配する合意を形成しました。紛争回避のための弁護士費用も売却益から差し引くことで合意しました。
短期間での現金化と相続の円満解決
兄弟全員が「揉めて管理に苦しむよりも、損をしても公平な現金を短期間で得る方が良い」と判断し、一括売却に同意しました。
底地売却から現金分配までをわずか3ヶ月で完了させ、紛争を回避。相続人全員が公平な現金を手にし、円満な解決を実現しました。
この事例は、底地のような特殊資産の相続において「公平な現物分割は困難」であることを認識し、早期に現金化して公平な分配を実現することが、何よりも優先されるべき戦略であることを示しています。
まとめ
底地の遺産分割を巡って兄弟間で揉めていた事例では、長男F氏が底地専門業者への「一括売却」を決断。買取業者I社からの「一括査定額」を、底地の客観的価値として提示することで、感情的な価格論争を終わらせました。売却益を法定相続分に基づき公平に分配することで、わずか3ヶ月で短期間での現金化と、相続の円満解決という最良の結果を得ました。
