カテゴリ: 底地再活用

底地を再活用する上で最も現実的かつ有効な方法が、借地権者との共同再開発です。
しかし、実際には「話が進まない」「条件が合わない」などの課題が多く、簡単ではありません。
このコラムでは、借地人との協力による底地再開発を成功させるためのステップを、現場の流れに沿って解説します。
なぜ共同再開発が注目されるのか
都市部では、老朽化した借地物件や複数の地権者が関わる土地が増加しています。
単独では開発が難しいケースでも、底地と借地を一体化することで、
マンションやオフィスなどの新たな開発が可能になります。
この再開発手法の利点は次のとおりです。
- 土地・建物が整理されることで資産価値が上昇
- 借地人の住環境が改善される
- 地主は固定資産税負担の軽減や収益増が期待できる
合意形成のプロセス
共同再開発を成功させる鍵は、「信頼関係の構築」と「利益配分の透明化」です。
下記プロセスを丁寧に行うことで、合意形成がスムーズになります。
- 現状の権利関係を整理
借地契約・登記・建物権利などを専門家とともに確認 - 双方の目的を明確にする
地主は安定収益、借地人は住環境改善など、立場の違いを整理 - 第三者コーディネーターを活用
弁護士・不動産コンサル・再開発事業者などが仲介 - 再開発計画の立案と利益配分案の提示
・土地持分の比率
・新建物の分譲・賃貸区分
・現金・代替地の受け渡し方法
小規模再開発による底地価値の向上(成功事例)
東京都郊外での事例では、地主と借地人が協力して2区画の底地・借地を統合し、3階建て共同住宅に再開発しました。
地主は土地を出資、借地人は建物権を譲渡。
完成後は賃料収入+建物持分を得る形で、双方に利益が出ました。
このように、「相互の利益」を明確に共有することで、底地再活用は“対立”から“協働”へと転換できます。
まとめ
底地再開発は、借地人と地主が対等にパートナーシップを築くことから始まります。
お互いの立場を理解し、専門家を交えて冷静に条件を詰めていくことで、双方にとって価値の高い土地再生が実現します。
“話が合わない”と諦める前に共に再生する選択肢を探ることが、これからの底地経営には欠かせません。
