
底地の売却において、最も高値がつきやすい買い手は、その土地を現在利用している借地権者本人です。借地権者は、自分の利用する土地の所有権を完成させたいという強い動機を持っているため、第三者への売却価格よりも高値での取引が期待できます。この事例は、地代改定交渉に失敗し、売却を決意したオーナーが、戦略的な価格設定と「第三者への売却打診」という心理的圧力を活用し、相場よりも高い価格で借地権者に底地を売却し、早期に現金化を成功させたケースです。
交渉の限界と現金化の必要性
郊外の住宅地で底地を所有していたA氏(60代)は、地代改定交渉を試みましたが、借地権者D氏から一切応じてもらえず、交渉が膠着していました。
交渉の限界
訴訟は避けたいが、このままでは地代が固定化し、収益改善が見込めない状態。相続を控え、底地を現金化して資産分割を容易にしたい。
解決に向けた戦略的アプローチ
A氏は、借地権者B氏に対して交渉の主導権を握るため、二段構えの戦略を実行しました。
1.価格の客観的根拠の確立
地元の不動産鑑定士に依頼し、「更地価格」「借地権価格」「第三者への底地売却想定価格」の三つを算定してもらいました。これにより、A氏の提示価格に公的な裏付けを与えました。。
2.第三者売却の『本気の打診』
底地専門の買取業者E社に、実際に底地の買取を打診しました。C社から提示された「第三者への底地売却価格」を交渉のテーブルに乗せ、B氏に「このままでは第三者に底地が売却され、知らないオーナーとの関係が始まる」という心理的な圧力を与えました。
3.『高値での平和的解決』の提示
A氏はB氏に対し、「C社への売却価格(第三者相場)よりも高いが、更地価格の65%という妥当な価格で、あなたに優先的に売却したい。所有権が完全になれば、あなたの建物の建替えも自由になり、土地の担保価値も上がる」という、B氏にとってのメリットを強調した最終提案を行いました。
相場を超える価格での売却と迅速な現金化
B氏は、第三者に底地が渡ることを避けたいという心理と、土地の所有権が完成するメリットを評価し、A氏の提示価格を受け入れました。
A氏は、第三者への売却価格(更地価格の50%相当)よりも約30%高い、更地価格の65%で底地を売却し、わずか4ヶ月で現金化を達成しました。
この事例の成功は、「客観的な鑑定評価」と「第三者への売却打診という交渉上の切り札」を効果的に組み合わせることで、借地権者からの特別な需要を最大限に価格に転嫁できた点にあります。
1.価格の客観的根拠の確立
地元の不動産鑑定士に依頼し、「更地価格」「借地権価格」「第三者への底地売却想定価格」の三つを算定してもらいました。これにより、A氏の提示価格に公的な裏付けを与えました。。
2.第三者売却の『本気の打診』
底地専門の買取業者E社に、実際に底地の買取を打診しました。C社から提示された「第三者への底地売却価格」を交渉のテーブルに乗せ、B氏に「このままでは第三者に底地が売却され、知らないオーナーとの関係が始まる」という心理的な圧力を与えました。
3.『高値での平和的解決』の提示
A氏はB氏に対し、「C社への売却価格(第三者相場)よりも高いが、更地価格の65%という妥当な価格で、あなたに優先的に売却したい。所有権が完全になれば、あなたの建物の建替えも自由になり、土地の担保価値も上がる」という、B氏にとってのメリットを強調した最終提案を行いました。
まとめ
地代交渉が膠着していたA氏は、借地権者への高値売却を決断。不動産鑑定評価書で価格の客観的な根拠を確立した後、底地専門の買取業者へ第三者売却を打診するという『交渉上の切り札』を活用しました。この心理的圧力を背景に「所有権完成のメリット」を強調した最終提案を行った結果、第三者への売却相場よりも約30%高い価格(更地価格の65%)での売却と、早期の現金化を実現しました。
