
底地は、相続税法上「貸宅地(かしたくち)」として評価されます。貸宅地とは、文字通り他人に貸し付けている土地のことです。この「貸宅地」の評価方法を正しく理解することは、適切な相続税の申告を行う上で非常に重要です。なぜなら、その評価が相続税の額を大きく左右するからです。
なぜ貸宅地は評価額が低くなるのか?
貸宅地が通常の土地(自用地)よりも低い評価となるのは、借地権という強力な権利が設定されているからです。オーナーは借地権があるために、土地を自由に使うことも、他人に売却することもできません。この「土地利用の制限」がある分、その価値は減額されると見なされます。
具体的には、土地の更地としての評価額(自用地評価額)から、借地権者が持つ権利の分(借地権割合)を差し引いた金額が、底地の評価額となります。この考え方は、底地が持つ制約を評価に反映させるためのものです。
貸宅地と「使用貸借」の違いに注意
ここで注意が必要なのが、貸宅地と**「使用貸借」**の違いです。使用貸借とは、土地を無償、あるいは非常に低い対価で貸し付けることです。例えば、親が子に無償で土地を貸しているようなケースがこれにあたります。
税務上、この「使用貸借」と見なされると、その土地は「貸宅地」ではなく、「自用地」として評価される可能性があります。もし自用地として評価されれば、借地権割合による減額がなくなり、評価額が大幅に上昇し、結果として多額の相続税を支払うことになってしまいます。
判断のポイント
- 地代の金額
地代が固定資産税程度の金額、あるいはそれ以下である場合、使用貸借と見なされるリスクが高まります。 - 賃貸借契約の有無
書面での賃貸借契約がない場合も、使用貸借と判断される要因の一つです。
貸宅地として正しく評価されるためには、地代を周辺の相場に合わせること、そして明確な賃貸借契約書を交わすことが重要です。
「貸宅地」のメリットを最大限に活かす
底地を所有している場合、この貸宅地としての評価方法を最大限に活かすことが相続税対策につながります。
- 地代の適正化
前述の通り、地代を周辺相場に合わせることで、貸宅地として正しく評価されます。 - 小規模宅地等の特例の併用
事業用として貸し付けている底地は、一定の要件を満たせば、**「貸付事業用宅地」**として小規模宅地等の特例を適用でき、評価額をさらに引き下げることができます。例えば、アパートや貸家を建てて土地を貸している場合などがこれに該当します。この特例の適用には、事業の継続期間や相続後の土地の利用方法など、細かい要件が定められているため、税理士に相談することが必須です。
まとめ
貸宅地の評価を正しく理解し、生前から適切な地代設定や契約管理を行うことで、将来の相続税の負担を大きく軽減できるでしょう。
