
底地は流動性が低く、特に複数の底地を抱えるオーナーにとって、売却や完全所有権化の実現には時間と多大な労力を要します。こうした流動性の低い資産を、市場で売買しやすい金融商品に変える手法が、「証券化」や「不動産信託」です。この手法は、主に大規模な投資家や金融機関が活用するものですが、オーナーが自分の底地資産を金融商品に組み込むことで、早期の現金化や管理負担の軽減を図るための選択肢として、その仕組みを理解しておくことは非常に重要です。
証券化と信託の仕組み
底地売却益を再投資するターゲットは、オーナーの年齢や目標に応じて異なります。
1.証券化(Securitization)
- 仕組み
底地(または地代収入債権)を複数の資産とまとめて、特別目的会社(SPC)などに信託します。
このSPCが底地を保有し、その収益を裏付けとして投資家向けに証券(債券や優先出資証券など)を発行し、資金を調達します。 - オーナーのメリット
底地の売却益に相当する資金を比較的早期に一括で得ることができます。
流動性の低い底地を、市場性の高い金融商品に変えることができます。
2.不動産信託
- 仕組み
オーナー(委託者)が底地を信託銀行(受託者)に託し、信託銀行が代わりに底地の管理・運用・処分を行います。
地代収入などの収益は、オーナー(受益者)に分配されます。 - オーナーのメリット
煩雑な管理業務(地代回収、トラブル対応など)から解放され、専門家による適正な管理を期待できます。
将来的な処分(売却)も信託銀行に任せられます。
底地オーナーが証券化・信託を利用するケース
個人オーナーが単独で証券化を行うことは稀ですが、複数の底地を保有し、以下の目標がある場合に有効な手段となります。
1.相続対策を兼ねた早期の現金化
相続が発生する前に底地を信託し、相続財産を現金化された受益権に転換することで、遺産分割を円滑化します。
2.プロの管理への移行
遠方の底地や、借地権者とのトラブルが多い底地を信託することで、信託銀行の専門的なノウハウに基づいた管理に移行し、精神的負担を軽減します。
3.ポートフォリオの最適化
流動性の低い底地を信託受益権という別の金融資産に組み替えることで、オーナーの保有資産全体の流動性と収益性をバランス良く調整できます。
利用する際の注意点と専門家連携
1.信託報酬・手数料
信託銀行に支払う報酬や手数料は、地代収入から差し引かれるため、実質的な手取り収入が減少します。事前に費用構造を詳細に確認する必要があります。
2.底地の収益性
証券化や信託は、ある程度の収益性や規模がなければ引き受けてもらえません。極端な逆ザヤ状態の底地は適用外となる可能性が高いです。
これらの手法は、オーナーの底地資産を「金融資産」として捉え直す視点を提供します。利用の際は、信託銀行や証券会社、そして税理士と連携し、費用対効果と税務上の影響を慎重に検討することが不可欠です。
まとめ
底地の証券化や不動産信託は、流動性の低い底地資産を早期に現金化し、管理負担を軽減するための高度な再活用手段です。信託を利用すれば、オーナーは管理業務から解放され、収益(受益権)を受け取れます。特に多数の底地を保有するオーナーにとって、相続対策としての現金化や専門家による管理移行という大きなメリットがあります。ただし、信託報酬による収益減少や、底地の規模・収益性による適用可否があるため、信託銀行や税理士と連携し、費用対効果を慎重に判断すべきです。
