収益性を高める実践ステップと最新事例

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底地は「安定した地代収入」がある一方で、利回りが低く、資産としての収益性が課題とされてきました。
しかし近年、地主や投資家の間では「底地をどう活かして収益を伸ばすか」という視点が注目されています。

本コラムでは、底地をただ保有するのではなく、“稼ぐ資産”として生まれ変わらせるための具体的なアプローチを紹介します。

現状把握が収益改善の出発点

まず重要なのは、底地の現状を正しく把握することです。
底地の価値や収益力は、借地人との契約内容、地代の水準、土地の立地条件などに大きく左右されます。

主なチェック項目は以下の通りです。
これらを整理するだけでも「どの部分で収益を改善できるか」の方向性が見えてきます。

  • 地代は周辺相場と比べて適正か
  • 契約更新や再契約時期が近づいていないか
  • 借地人の建物や利用状況に変化がないか
  • 公租公課(固定資産税など)の負担が重くなっていないか

地代の見直し(交渉と相場把握が鍵)

底地収益の中心は、言うまでもなく地代です。
しかし、昔に設定された地代がそのまま据え置かれているケースは多く、実際には相場より2〜3割低いことも珍しくありません。
交渉の進め方を誤ると関係悪化を招くため、第三者(不動産鑑定士・弁護士など)の関与が推奨されます。

下記のような方法で適正な収益水準への引き上げを図ることが可能です。

  • 借地人との地代改定交渉
  • 専門家による地代鑑定評価
  • 定期借地契約への切り替え

借地関係の整理で「再生型収益」へ

地代を上げるだけではなく、権利関係を整理することも収益改善の重要なステップです。
たとえば、借地人が高齢化して更新や利用が難しくなっている場合「底地と借地の一体化」や「買い取り・交換」などで土地を再構成できるケースがあります。

借地権が解消されると、下記のような再生型の収益機会が広がります。

  • 更地化して新たに賃貸活用
  • 駐車場やトランクルームなど収益施設に転換
  • 建物付きで第三者に売却

小規模活用でも収益性を上げられる

「再開発までは難しい」という底地でも、小規模活用による収益改善は十分可能です。
特に近年では、低コストで始められる小口活用のニーズが高まっています。
底地の「未利用スペース」をどう活かすかが、収益改善のポイントになります。

【小規模活用の例】

  • 更地化して新たに賃貸活用
  • 駐車場やトランクルームなど収益施設に転換
  • 建物付きで第三者に売却

将来の出口戦略も「収益改善」の一部

収益を改善するだけでなく、出口戦略を視野に入れることも大切です。
将来的に底地を売却・一体化・信託化する際、日頃から収益性を高めておくことで、査定価格や買い手の評価が大きく変わります。

「収益改善=短期利益の追求」ではなく「底地の資産価値を長期的に引き上げる戦略」と捉えることが、成功への第一歩です。

まとめ

底地の収益改善は、一朝一夕には実現しません。
しかし、地代見直し・権利整理・小規模活用の3ステップを積み上げることで、眠っていた土地が確実に“稼ぐ資産”へと変化していきます。
地主が自ら積極的に取り組むことで、底地は「安定」から「成長」へと進化するのです。